年金を繰上げてもらう方が良い人とは?|老後を豊かに過ごすために

「少しでも年金額を増やすために可能な限り繰下げしたい」「自分は何歳で年金をもらうのが得なのか」と悩む人が多いのではないでしょうか。

年齢を重ねていくと老後のライププランを真剣に考える人も多いでしょう。

すると、自分は何歳で年金をもらうのがお得なのかと迷いますよね。

特にコツコツ貯金したり資産形成している人は、将来年金をいつもらうのが良いのか悩む可能性が高い問題でしょう。

資産形成している人の中には、60歳から繰上げてもらった方が良い人がいます。

えっ!

繰上げ受給したら年金額が減って損しちゃうのに!?

と思う人が多いのではないでしょうか。

この記事では、豊かな老後を過ごすために繰上げ受給した方が良い人について解説しますので、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

年金の受け取り方について

最初に年金の受け取り方について、基礎的なところを解説します。

年金は、65歳から満額受け取ることができます。

60歳から前倒しで受け取ることができ、これを”繰上げ受給“と言います。

また、最大75歳まで受け取りを遅らせることも可能で、これを”繰下げ受給“と言います。

それぞれどんなメリットとデメリットがあるのか簡単に解説します。

繰上げ受給した時のメリットとデメリット

繰上げ受給した時のメリットは、次の通りです。

繰上げのメリット
  • 安定した収入を早く受け取れる
  • 税金が安くなるケースが多い

一方、デメリットは次の通りです。

繰上げのデメリット
  • 受け取る年金額が少なくなる(繰上げ1ヵ月あたり0.4%の減額率)
  • 長生きするほどもらえる年金額が少なくなる

繰上げにはこのようなメリットとデメリットがあることを理解しておきましょう。

繰下げ受給のメリットとデメリット

次に繰下げ受給した時のメリットは、次の通りです。

繰下げのメリット
  • 受け取る年金額が多くなる(繰り下げ1ヵ月あたり0.7%の増額率)

一方、デメリットは次の通りです。

繰下げのデメリット
  • 長生きできなかった場合、もらえる年金が少なくなる
  • 税金が高くなるケースが多い
  • 年金をもらう前に亡くなってしまう可能性がある

繰下げにはこのようなメリットとデメリットがあることを理解しておきましょう。

繰上げ受給した方が良い人とは

結論からお伝えしますと、繰上げ受給した方が良い人は次の通りです。

繰上げ受給がおすすめな人
  • アーリーリタイアできている人
  • セミリタイアで生活が成り立っている人

このような人は、正規雇用やフルタイムで働かなくても十分生活できているため、年金額は減りますが繰上げ受給がおすすめです。

年金を浪費枠として活用することで、豊かな老後を過ごすのに大いに役立つでしょう。

とはいえ、こんな疑問を持つ人が多いのではないでしょうか。

フルタイムで働かなくても生活できるから、繰下げして年金額を多くもらった方が使えるお金が増えるしお得なのでは?

現状生活が安定しているので、焦って繰上げしなくてもいいのではないかと思いますよね。

なぜ繰上げ受給した方がよいのか理由を説明します。

アーリーリタイアやセミリタイアできている人が繰上げ受給した方が良い理由

アーリーリタイアやセミリタイアで生活できている人に繰上げ受給をおすすめする理由は、次の4つです。

繰上げ受給をおすすめする理由
  1. 年齢が若いほどお金の使い方の選択肢が増える
  2. 長生きリスクに備える必要がほぼない
  3. 年金制度の改悪を回避できる
  4. 使い道がなかったお金を投資に回して運用できる

それぞれ詳しく解説します。

年齢が若いほどお金の使い方の選択肢が増える

人間、年とともに行動力や気力・体力が低下していくものです。

例えば、60歳の人と75歳の人が手元に100万円あったとします。

使い方を考えたときに、60歳の人はまだまだ体も健康で体力も気力もあるという人が多いでしょう。

そのため、自分が望むことにお金を使った時に使ったお金に見合う満足感を得ることができるでしょう。

一方、75歳ともなると、健康に陰りが見えたり、外出するのも億劫になってきたりと体力や気力が低下している人も多いでしょう。

すると、お金を持っていてもやりたいことが狭まってしまうでしょう。

このように100万円というお金の価値を引き出す選択肢は変わってくるということです。

長生きリスクに備える必要性はほぼない

長生きすればするほど、生きていくうえで必要なお金は多くなります。

長生きリスクに備えて貯蓄しようと言われる理由は、年金だけでは老後の生活を維持できない人が多いからです。

老後2,000万円問題として話題になりましたが、年金収入だけではほとんどの人が老後破綻する可能性があるでしょう。

ちなみに私は年金シミュレーションによると、65歳までフルタイムで働いたとしても年金だけでは1ヶ月の生活費には足りていませんでした。

対策をしていなければ老後破綻します。

豊かな老後を過ごしたい人は、自分で必要な資産を用意し備えておかなければなりません。

ただ、長生きすればするほど用意するお金は大きくなります。

アーリーリタイアやセミリタイアで生活できている人は、資金を準備できている人がほとんどでしょう。

そのため、100歳まで長生きしたとしても、年金を繰下げしてまで増やさなくても十分豊かな老後を過ごせるでしょう。

つまり、そのような保険をかけて少しでも儲けようとするよりも、もっと大事なことがあるのではと思います。

日本人の平均寿命と老後の生活費について

長生きリスクに備えるにし、日本人の平均寿命と老後の生活費はいくら必要なのかを考える必要があります。

日本人の平均寿命は、厚生労働省から発表されている「簡易生命表(令和5年)」によると以下の通りです。

日本人の平均寿命

  • 男性が81.09歳
  • 女性が87.14歳

厚生労働省「簡易生命表(令和5年)」より

次に老後の生活費は、生命保険文化センターが行った調査結果によると次の通りです。

老後の生活費

  • 夫婦2人で老後の最低日常生活費の「最低額の平均」は23.2万円
  • 夫婦2人でゆとりある老後生活費の平均額は37.9万円

生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」より

詳細な内訳等も公開されているため、もっと内容が知りたい人はリンクから確認してみてください。

年金の収入だけでこの金額を充足できているか考えてみましょう。

将来もらえる年金額について

令和6年度の老齢基礎年金の満額は816,000円で1ヶ月あたり約6.7万円です。

年金額は物価変動などの要因によって増えたり減ったりするため、もらえる年金額は固定ではないということは覚えておきましょう。

令和6年度計算ですと、夫婦2人満額で13.4万円ですね。

ここで、年金の免除申請していたり、未納があればその分もらえる金額は少なくなります。

結果、基礎年金だけだと老後の生活を維持することが難しいですね。

老後の生活を維持するためには、貯金したりアルバイトなどで生活費を補う必要があります。

老齢厚生年金の加算額は大きい

公務員や会社員の人は、毎月厚生年金を払っているため、基礎年金に厚生年金が加算された分がもらえます。

収入が多く掛け金が大きい人や夫婦ともに厚生年金に加入し65歳まで働いていた夫婦であれば、「最低額の平均23.2万円」を上回る世帯も多いでしょう。

一方、いずれかが専業主婦(夫)だったり、バイトやパートで厚生年金を支払っていない人がいると加算は期待できません。

自分が将来もらえる年金額は、日本年金機構のサイトで試算ができますし、年金定期便でも確認できます。

気になる人は確認してみてください。

私的年金で補填できるが・・

その他にも、特に大企業が独自に行っている企業年金や保険会社が販売している年金商品などがあります。

企業年金は、大企業などで実施されていることが多いですが、ほとんどの企業でこの制度はありません。

代わりに企業型DCとして提供している企業が多いでしょう。

また、企業年金は企業の経営状態によっては減額されたり廃止されたりしますので、公的年金のような安定性はありません。

例えば、JAL(日本航空)が経営破綻したときに企業年金制度の見直しも行われました。

ニュースで大きな話題となりましたので経緯は割愛しますが、2010年3月に制度改定が行われ、現役社員は平均50%、退職者は平均30%の給付減額が決定されました。

保険会社の年金商品による年金の補完も可能ですが、利率が非常に悪いのでおすすめしません。

同じ金額を使うなら、自分で勉強して投資することをおすすめします。

年金制度の改悪を回避できる

日本は少子高齢化が進んでいます。

このまま続けば年金制度を維持できず、改悪される可能性があります。

例えば、以前は60歳から年金が満額もらえましたが、現在満額もらおうとすると65歳からですよね。

年金の受給が5年も後ろにされるという改悪が行われました。

少子高齢化は今後も避けられず、年金制度は改善することはなくても将来どのような改悪がされるかは誰にもわかりません。

年金は受給開始すれば開始した時点の受取額がほぼ保証されます。(先ほどお伝えしたように物価変動などにより多少増減する)

そのため、改悪リスクを回避できるということです。

少子高齢化が進むと年金制度は破綻する?

少子高齢化が加速していくと年金制度が自体が破綻するのではないかと不安になる人もいるのではないでしょうか。

結論から言いますと、年金制度は破綻しません。

将来年金制度が破綻すると言っている動画や情報を見て、不安なって年金を支払わないのは自分が損をするだけなのでちゃんと納付しましょう。

不安になる人は、勉強不足だからです。

破綻はしませんが改悪はされます。

混同しないようにしましょう。

自分の老後に直接関係することですから、きちんと勉強して正しい知識を身につけて適切な行動ができるようにしましょう。

使い道がなかったお金を投資に回して運用できる

年金を早く受け取って、趣味を満喫したり友人と過ごしたり、旅行に行くなど自分のやりたいことにお金を使おうとしても、アクティブに行動し続けるのは難しいでしょう。

そこで、使い切れなかったお金を投資に回して、まとまって使いたい時のために運用することができます。

ただ、セミリタイアできている人なら、年金を資産運用に回すよりも、どんどん使おう!と伝えたいですね。

まとめ

年金を繰上げてもらう方が良い人について解説しましたが、参考になれば嬉しいです。

20代・30代からコツコツと資産運用している人は、50代になれば大きな資産を築けている人がほとんどでしょう。

資産を築いた人の多くは、豊かな老後を過ごすために年金をどうするかという悩みに直面する可能性が高いです。

ある意味、羨ましい悩みですよね。

アーリーリタイアやセミリタイアできている人に繰上げ受給をおすすめする理由をまとめると、

お金の価値は年齢が若い人の方が引き出しやすいから

です。

早めに受け取って年齢が若い元気なうちに使った方が有意義に使えるでしょう。

ただし、年金を受け取る年齢に正解はありません。

ライフスタイルや将来描くビジョンなど、さまざまな要因によって変わります。

安定した消費枠を確保して豊かな老後を過ごしましょう。

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