
「投資を始めたいけど、今はタイミングが悪そう」
「暴落が怖くて積立を止めてしまった」
こう感じたことがある人にこそ、読んでほしいのがニック・マジューリの名著『JUST KEEP BUYING(ただ買い続けよ)』です。
この一冊が教えてくれるのは、「市場の予測ではなく、行動の継続こそが富を生む」という事実です。
私自身もこの考え方を実践してきたことで、暴落のたびに焦らず、資産を着実に積み上げる習慣が身につきました。
つまり「投資を続ける勇気が“資産を作る力”になる」ということです。
詳しく解説しますので、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
1. お金持ちになるための王道は「資産を持つこと」
どれだけ頑張って働いても、労働だけではお金は増えません。
なぜなら、働いていない時間は収入が得られないからです。
では、お金持ちになるにはどうすればよいのか?
“それは「自分が働いていない時間にもお金が増える仕組み」を作ることです。
たとえば、次のようなものです。
- 不動産
- 株
- 債券
- ビジネス
“資産が収入を生み出す仕組み”を早く持つほど、時間が味方になります。
2. 貯金と投資のバランス:まずは「投資のタネ」を育てよう

投資を始める前に、まず必要なのは生活防衛資金です。
防衛資金がない状態で投資を始めてしまうと、ちょっとした下落で生活費を補うために切り崩せなければならず、結果的に“損失が確定”してしまいます。
最低でも生活費6ヶ月分の現金を確保した上で、それ以上を「将来のための投資資金」として回すのが理想でしょう。
お金がない人は貯金を、お金がある人は投資を。
投資とは、「余剰資金を未来に働かせる」行動なのです。
3. 節約より「収入アップ」に焦点を当てる
節約で増やせる金額には限界がありますが、収入を増やせば“投資できる金額”は理論上は天井なく増やすことができます。
こうした行動は、始めは小さくても将来的な資産形成に大きな差を生みます。
節約は“守り”、収入アップは“攻め”。
攻守のバランスが、資産を増やすポイントです。
4. 投資は「今すぐ始める」のが最適解
投資を始めようとすると、損したくないという思いから、

今は株高だから、株価が下がってから買いたい

暴落が来たタイミングで買いたい
と考えるでしょう。
しかし、結論から言えば──ベストなタイミングは“今”なのです。
投資のタイミングを計るのは不可能
市場の上がり下がりを正確に予測できた人はほとんどいないでしょう。
むしろ「タイミングを計る」こと自体が最大のリスクなのです。
なぜなら、投資を“していない期間”は、複利が働かず、機会損失が続く期間だからです。
短期的な上下に惑わされず、今すぐ市場に参加することが、長期的には最も高い成果をもたらします。
そもそもタイミングを計って買うよりもすぐにドルコストで買い続けた方が良いことがシミュレーション結果からわかっています。
シミュレーション結果
実際に本の中で投資シミュレーションによる検証結果が提示されています。
- パターンAは毎月1万円を40年間購入する
- パターンBは下がった時に一気に買う
結果は、70%の確率で毎月1万円を40年間購入する方が優れているという結果でした。
結論として、
貯金をしてタイミングのいいところで投資できると考えているなら考え直した方がいい
神でさえドルコスト平均法に勝てないのだから引用:JUST KEEP BUYING より
と締めくくっています。
この本のタイトルである「JUST KEEP BUYING(ただ買い続ける)」もドルコストのことを言っています。
投資できる金額は一括投資する
もしある程度の資金があるなら、“一括で投資する”のがベストです。

一度に投資するのは怖い

少しずつ買ったほうが安全そう
と悩む気持ちはすごくわかります。
かつての私がそう思い、定額積立をしてきましたから。
現在、一括投資しなかったことを後悔ているからです。
一括投資が有利な理由
理由は次の通りです。
- 市場は長期的に右肩上がりであるため、早く市場に入るほど、複利の恩恵を長く受けられる。
- Vanguard社のデータによると、過去の検証では約70%のケースで一括投資の方が高リターンを得ています。
つまり、“時間を味方にする”という点で、分割投資より一括投資のほうがリターンを最大化できるのです。
一括投資のリスクと賢い対策
もちろん、一括投資にも短期的なリスクはあります。
投資直後に市場が下がれば、一時的に損失が出ることもあります。
そのため、心理的に不安を感じる人は、次のように「一括+積立」を組み合わせると効果的です。
一括投資は“勇気”、積立は“継続力”。
この攻守2つを併用すれば、安心でしょう。
5. S&P500インデックスファンドが最強の選択肢
S&P500インデックスファンドは、世界中の投資家が「長期投資の基本」として選ぶ最強の投資対象です。
米国を代表する500社(Apple、Microsoft、Amazon、コカ・コーラなど)に幅広く分散投資することで、特定の企業や業種のリスクを抑えながら、米国経済全体の成長を取り込むことができます。
S&P500の過去30年の平均年利回りはおよそ7〜8%。
この成長率を長期で積み上げることが、資産形成の王道です。
さらに、S&P500は長期的に見て右肩上がりを続けており、リーマンショックやコロナショックといった暴落のたびに力強く回復してきました。
「時間を味方にする投資」を実現する上で、これほど信頼できる商品はありません。
毎月一定額を積み立てるドルコスト平均法で、高値掴みを避けつつ、着実に資産を積み上げましょう。
個別株で資産形成したい
中には、

「自分の好きな企業に投資したい」

個別株で資産形成したい
と考える人もいるでしょう。
その気持ちはよくわかります。
企業の成長を応援したい、株主優待を楽しみたい──そうした想いも投資の楽しみのひとつです。
しかし、本書『JUST KEEP BUYING』では明確に個別株は買うなと述べています。
理由は明確で、多くの投資のプロでもインデックスファンドに勝てないからです。
投資のプロでも勝てない現実
プロのファンドマネージャーたちは、毎日何十時間も情報を分析し、経済指標や企業業績をもとに投資を行っています。
それでも、S&P500などの市場平均に勝ち続けるファンドはわずか10〜20%程度にすぎないのです。
つまり、ほとんどの人が「市場平均に負ける」という現実があります。
それを個人投資家が少ない時間と知識で超えるのは、非常に難しいのです。
個別株投資には膨大な知識が必要
個別株で成果を出すには、簿記や会計、経営分析などの知識が不可欠です。
たとえば
など、多面的な視点が求められます。
これは、フルタイムの仕事並みに時間を使う行為です。
もしその時間を自分の幸せ(家族・趣味・友人)のために使えば、人生全体の幸福度や生産性は確実に高まるでしょう。
趣味としての個別株ならOK
それでも「個別株をやってみたい」という気持ちを否定する必要はありません。
実際、私も無理のない範囲で学びながら個別株をしています。
その経験から、メインの資産形成はインデックス投資でほったらかし、個別株は“趣味として小額で楽しむ”のがベストということです。
- メイン:S&P500などのインデックスファンド
- サブ:好きな企業に少額投資(学び+楽しみ)
このバランスなら、精神的な負担も少なく、投資の理解も深まります。
投資を楽しむ気持ちも大事ですからね。
6. 暴落は“敵”ではなく“味方”

投資を続ける上で最大の試練が「暴落」です。
暴落時はニュースやSNSで不安を煽られるため恐怖心を持ちますよね。
しかし、過去100年のデータを見ても、暴落のたびに市場は回復し、過去最高値を更新し続けてきました。
次の表を見れば一目瞭然ですよね。
引用:my INDEX
どうしても不安な時は、著名人の名言を心のよりどころにしてやり過ごしましょう。
投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットさんの名言を紹介します。

みんながどん欲な時に恐怖心を抱き、みんなが恐怖心を抱いている時にどん欲であれ
暴落はむしろ“安く買えるバーゲンセール”。
積立を止めずコツコツ買い続けて、平均取得単価を下げ、将来の利益を最大化できるチャンスですから。
信念を持てないのであれば、最初から投資をしない方がお金を減らさずにすみますから、投資以外で資産形成する方法を考えましょう。
7. 時間が最も貴重な資産

お金を増やすことは、生活を豊かにするために必要です。
しかし、資産が増えてきたら、次に意識すべきは「時間」です。
なぜなら、お金よりも時間のほうが価値があるからです。
お金は取り戻せるが、時間は戻らない
お金は、使ってもまた稼ぐことができます。
けれども、一度過ぎた時間は、どんなにお金を積んでも戻すことはできません。
たとえば、90歳で100億円を持っている人がいたとして、その人が30歳のあなたに「人生を交換してほしい」と言ったらどうでしょう?
きっとその人は、全財産を失っても喜んで若さを手に入れるでしょう。
一方で、あなたが100億円をもらって90歳になりたいとは思わないはずです。
このシンプルな例が、時間こそが究極の資産であることを物語っています。
お金は“時間を守る”ためにある
資産を増やす本当の目的は、豪華な暮らしをすることでも、見栄を張ることでもありません。
それは、自分の時間を自分のために使う自由を得ることです。
- 嫌な仕事を無理に続けなくてもいい
- 大切な人と過ごす時間を優先できる
- 学びたいことに集中できる
- 健康や趣味に時間をかけられる
こうした選択肢を増やすために、お金は必要なのです。
つまり、お金は「自由時間を買う道具」に過ぎません。
時間を資産のように扱う
投資家が複利を意識するように、私たちも「時間の複利」を意識して使う必要があります。
たとえば、毎日1時間を自己投資にあてれば、1年後には365時間分のスキルや経験が積み上がります。
逆に、何も考えずに過ごせば、時間は静かに失われていきます。
時間は使うたびに減る。
けれども、有意義に使えば幸せや充実感が得られる。
お金のように貯めることはできないけれど、価値を生み出す使い方をすれば、人生の質は何倍にも広がるでしょう。
まとめ
JUST KEEP BUYINGについて解説しましたが、参考になれば嬉しいです。
インデックス投資による長期的な資産形成がベストであることや投資の心構え、時間という貴重な財産を有効に使うことを学ぶことができます。
資産形成の本質は「お金を増やすこと」ではなく、お金に支配されずに生きる力を持つことです。
資産を築くことは、あなたの人生を守るための防具であり、同時に「自分の時間をどう使うか」を選べる自由を得る行為でもあります。
- 投資はタイミングより「継続」がすべて:市場の上下を読もうとせず、「JUST KEEP BUYING」──ただ買い続ける。
- インデックスファンドで時間を味方につける:S&P500などの分散投資が、最もシンプルで強い資産形成の基盤。
- 個別株は趣味の範囲にとどめる:市場平均を超えるのは難しく、知識と時間のコストが大きい。
- 暴落は恐れるものではなく、チャンス:短期の下落を受け入れた人だけが、長期で勝ち続ける。
- お金よりも時間の価値を知る:お金は再び稼げても、時間は二度と戻らない。だからこそ、今という瞬間を大切に使うことが最大の投資。
「JUST KEEP BUYING」という言葉は、単なる投資手法ではなく、生き方の哲学でもあります。
継続する勇気、見せない知性、時間を大切にする感性。
この3つを持つ人こそ、お金だけでなく“人生そのものを豊かにできる人”でしょう。
そんな人生を手に入れられるように一緒に頑張っていきましょう。