
投資を始める人は、「少しでもお金を増やしたい」「将来もっと豊かになりたい」と願うものです。
しかし投資にはリスクがつきものですし、手続きが面倒に感じることもあるでしょう。
そういう意味で、投資信託は初心者にとって「リスクと手間が比較的少ない選択肢」に思えるかもしれません。
ただし、投資信託の中には、「売る側の利益」を優先して設計された商品もあり、営業トークに流されて選んでしまうと、長期的に資産を目減りさせるリスクがあります。
にもかかわらず、多くの人は

この投資信託は最近話題の半導体を主力とした構成銘柄です。
なので、今後大きく成長が期待できるおすすめのファンドです。
と自信をもってすすめられると、

半導体は最近話題になってるし、おすすめされる商品なら大丈夫だろう

多くの人が買ってるなら間違いないでしょ
という理由だけでそれを買ってしまっているのです。
なぜそのような損をする投資信託を買ってしまう人がいるのか?
それは、良い商品のように思わせている人がいるからでしょう。
人は自信のないことや不安なことに直面すると、自信を持っている人の意見や判断を鵜呑みにしまいがちです。
“おすすめ商品 = 良い商品”ではないということを理解する必要があります。
そうは言っても、

どうやってよい商品か判断したらよいのかわからない
という人も多いでしょう。
この記事では、避けるべき投資信託の特徴や見抜き方を分かりやすく解説しますので、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
手数料が高い投資信託 ≠ 悪とは限らない
まず抑えておきたいのは、「手数料が高い=必ず損をする」というわけではない、ということです。
たとえば、
というファンドがあったとき、Bのほうが手元に残るお金が大きいなら、「高い手数料でも条件次第で選択肢になり得る」ということです。
ただし、「似たような商品で手数料が少し違うだけであれば、できるだけ低いほうが有利になる」こと、そして「長期間保有すると手数料の差は思っている以上に影響が出る」ということは理解しておきましょう。
絶対に避けるべき投資信託
絶対に避けるべき投資信託はこちらです。
- 金融機関からすすめられた商品
詳しく解説します。
絶対に避けるべき投資信託 金融機関からすすめられた投資信託

金融機関からおすすめされた投資信託は買ってはいけません。
例外はないと言えるでしょう。
理由は、金融機関の目的を考えれば簡単に理解できます。
金融機関の目的
金融機関の目的は、相談者の資産を増やすことではありません。
真の目的は、収益性の高い商品を売って会社の利益を増やして評価を上げることです。
つまり、相談者の多くが金融機関のセールスマンに

投資の知識が豊富な人だから、お金を増やしてくれる商品を提案してくれるはず
と期待しているでしょう。
一方で、金融機関の人は

この人は投資の知識が低そうだな。
手数料収入が高い投資信託を購入するように誘導しよう
と考えているでしょう。
つまり、両者の目的(利害)は一致していないのです。
そのため、提案をそのまま受け入れるのは危険です。
実際にネット証券と対面型証券のランキングを見てみましょう。
売れている投資信託 ネット証券
実際にネット証券と対面型証券のランキングを確認して、どう思うか考えてみてください。
2025年4月のランキングです。
ネット証券大手のSBI証券と楽天証券はそれぞれ次のようになっています。
引用元:SBI証券 投資信託 ランキングより
引用元:楽天証券 投資信託 ランキングより
eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)とeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が1位2位となっています。
ランキングを見ると手数料の安いインデックスファンドが上位を占めているのが確認できます。
注目すべき点は、
です。
ちなみに、SBI証券4位のSBI日本株4.3ブルは、インデックスファンドではなくアクティブファンドでレバレッジをかけている商品です。
レバレッジとは、掛け金の何倍もの金額を取引できる仕組みです。
このファンドの場合、価格が上昇した場合は4.3倍になる商品です。(反対に下落時は4.3倍資産が減ります)
つまり、ハイリスク・ハイリターン商品です。
また、楽天証券5位のインベスコ 世界厳選株式オープンは毎月分配型の投資信託でインデックスファンドではありません。
毎月分配型の投資信託については後ほど解説します。
レバレッジ商品がランクインした理由
余談ですが、2025年4月にレバレッジ商品がランクインした理由がわかりますか?
ピンときた人もいるでしょうが、アメリカ大統領が全世界に向けて関税を実行したことで、市場が大きく下落しました。
この下落は一過性で、すぐに上昇に転じると判断した人が非常に多かったということですね。
上昇が見込めるなら、レバレッジを掛けた方が短期間で大きく利益を出すことができますからね。
売れている投資信託 対面型証券
2025年4月の野村證券のランキングです。
引用元:野村證券 投資信託 ランキングより
それぞれの投資信託を簡潔に説明します。
3位にeMAXIS S&P500が入っていて驚いた人もいるかもしれませんが注意しましょう。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とは別の商品です。
続いて大和証券のランキングです。
引用元:大和証券 投資信託 ランキングより
それぞれの投資信託を簡潔に説明します。
テーマ型ファンドについては後述します。
最後に日興証券のランキングを見てみましょう。
引用元:日興証券 投資信託 ランキングより
それぞれの投資信託を簡潔に説明します。
※ファンド・オブ・ファンズとは、投資信託に投資する投資信託のことです。
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型は、どの証券会社にもランキングされていますね。
過去のデータを見ると、高いリターン(実績)を出しているいい商品のようです。
たとえば、大和証券ではインド株が入っているのに、ネット証券や野村、日興ではランキングに入っていませんね。
対面式証券では、

証券会社によって売れ筋商品が全然違う
とあらためて確認できましたよね。
ランキングが示す警鐘
ネット証券は低コストのインデックス型が中心で、対面証券は手数料の高い商品が目立つ傾向があります。
さらに、対面証券は会社ごとになぜこうも売れ筋が違うのか。
このことから、手数料の高い商品を売りたいのは共通しているが、商品は何でもいいということでしょう。
提案された商品は疑ってかかる
ネット証券は、基本的に商品を購入するために、自分で情報を集め比較・検討を自分で行う必要があります。
自分が主体になると、eMAXIS Slimシリーズに代表される低コストのインデックスファンドが良いと判断した人が非常に多いということがわかります。
一方、金融機関に行って投資をすると、金融機関の意向に沿った手数料の高い商品をすすめられるがまま購入する人が多いということは確認できました。
すると、その商品が自分にとって最適な商品であるとは限らないことが理解できましたよね。
判断が難しいならば、

金融機関がおすすめする商品には何か裏がありそうだ
と提案された商品は一度疑うべきです。
そうしなければ冷静かつ公平に判断できないからです。
見抜くための4つの方法

では、具体的にどうやって見抜けばよいのか知りたいですよね。
注意すべきファンドは次の4つです。
- 手数料が高いファンド
- 毎月分配型ファンド
- 発売から間もないファンド
- テーマ型ファンド
それぞれ解説します。
注意すべきファンド その1 手数料が高いファンド
“手数料が高い投資信託 ≠ 悪とは限らない”ではないと解説しました。
なのに

なんで手数料が高いファンドに注意しろと言ってるの
と疑問に思う人もいるでしょう。
では、手数料が高いファンドの何に注意しろと言いたいのか。
わかりやすいように例を出して説明します。
手数料を意識すべき理由
野村証券のランキングの3位にeMAXIS S&P500が入っていましたよね。
しかし、よくネットなどでおすすめされているのはeMAXIS Slim S&P500というファンドです。
この2つは、どちらもS&P500という指標に連動するインデックスファンドです。
それぞれの手数料は以下の通りです。
eMAXIS S&P500の方が手数料が高いですよね。
手数料が高いからと言って、eMAXIS S&P500の方が高いパフォーマンスが出るわけではありません。
同じような値動きをします。
ならば、わざわざ高い手数料のeMAXIS S&P500を買う必要はありませんよね。
なぜならその分手元に入るお金が減りますし。
具体的に、300万円購入して20年7%で運用した場合を比較してみましょう。
参考:運用シュミレーターより
参考:運用シュミレーターより
手数料の高いと利益が47万円も少なくなっていますね。
3,000万円購入したら470万円手お金が減ると考えれば、手数料は意識すべきです。
そのため、おすすめされたら
は必ず確認しましょう。
注意すべきファンド その2 毎月分配型ファンド
毎月分配型とは、毎月決められたお金がもらえるファンドのことです。
注意すべき点は、
です。
たこ足とは、利益ではなくただ元本を支払うことです。
わかりやすいように例を出します。
5%の毎月分配型ファンドを1,000万円購入しました。
しかし、成長が予想を下回り2%だったとします。
このファンドは5%を分配する商品です。
不足分3%分のお金は、元本を購入者に戻すというイメージです。
これをたこが自分の足を食べて満足している様子になぞらえて”たこ足”と呼んでいます。
毎月分配型は手数料が高いファンド多いため、2%の成長率では資産が減るケースがほとんどです。
手数料が高く、また分配率が高いほどお金が減るリスクが高いのに魅力的に見えるファンドだということは理解しておきましょう。
毎月分配型ファンドが売りやすい理由
年金と貯金が頼りの老後。
不足分を貯金で補うスタイルだと、ただただ残高が減っていくだけですから、お金が減っていく恐怖とストレスは相当大きいでしょう。
そのような状況を避けたい多くの人からすれば、毎月分配型ファンドは魅力的な商品に見えるでしょう。
成長予想やセールスマンの営業トークを聞けばなおさらです。
なのでランキングに入るほど人気だというのもうなづけます。
売る方としても、ポジショントークをしやすいですからね。
たとえば、

成長し続ければ元本は減らず、毎月5万円のお小遣いがもらえるイメージですよ
と。
金融リテラシーのない人からすれば

元本はそのままで毎月お小遣いがもらえるなんて!
と思いますよね。
注意すべきファンド その3 発売から間もないファンド
新しい投資信託は、セールスマンにとってメリットの多いファンドです。

新しいとてもいい投資信託が発売されました。
〇〇というコンセプトのもと作られているので、今後大きな成長が見込めます
と購入者に興味を持たれやすく、おすすめしやすいからです。
一言で言うと「売りやすい」のです。
発売から間もないファンドを注意すべき理由は、実績がないことです。
セールスマンの説明通りの成長が見込めるのか、数値や実績で判断ができませんからリスクが高いファンドと言えます。
注意すべきファンド その4 テーマ型ファンド

テーマ型ファンドとは、その時流行しているトレンドを扱ったファンドです。
たとえば、最近なら半導体やAIをベースに作られたファンドといった感じです。
大和証券のランキングにも半導体関連のファンドが入っていましたよね。
このような特定のテーマや流行を扱ったファンドの注意すべき点は、
です。
大きく成長していますから、広く一般に注目された頃はピークを過ぎている場合が多いでしょう。
一般に広く認知された時に、

AIをテーマにしたファンドを作れば売れるぞ
と見込んで作られます。
注目されていますから、売る方も売りやすいですからね。
実際に過去のテーマ型ファンドが現在どうなっているのかを見れば理解できるでしょう。
たとえば、

太陽光発電?
そういえば昔そんなものが流行った時があったな
と思いませんか。
このように、テーマ型ファンドは長期投資に向いていないでしょう。
短期を見込んで購入するのはあり?
長期投資に向いていないけど、勢いがあるうちに短期の成長を見込んで売買するのはありなのかと疑問に思う人もいるでしょう。
私の考えは、

ありだが割が悪い
です。
理由は次の通りです。
- 短期なら個別株の方が利益を最大化できる可能性が高い
- セールスマンの養分にされる
もう少し詳しく解説します。
個別株の方が利益を最大化できる可能性が高い
最初に、アクティブファンドは手数料が高いため、上がっても利益が思ったより出ないということがあります。
具体的には、2年で20%成長したとしましょう。
手数料が年5%なら、2年で10%お金を失います。
すると2年トータルで10%の利益です。
年利5%ですから、これが期待した利益と言えるのかどうかです。
ならば、テーマの企業の株を直接買った方がもっと利益を得られる可能性が高いでしょう。
セールスマンの養分にされる
証券マンは手数料の高い商品を売って会社の利益に貢献しなければなりませんよね。
証券マンには販売ノルマが課されているケースがあります。
目標達成には、テーマ型ファンドを購入してもらうのは非常に都合がいいのです。
なぜなら、テーマ型ファンドは短期で下火になる可能性が高いですから、

このファンドはトレンドも下火で今後成長が期待できません。
ここで見切りをつけて、新しいこちらのテーマ型ファンドで資産を増やしましょう
と提案しやすくなります。
このように、ごく自然な流れで定期的に買い替えさせることで、ノルマ達成の仕組みを楽に作ることができるでしょう。
テーマ型ファンドで上手く利益が出ているのであれば、win-winの関係を築けるかもしれませんし。
しかし、期待通り上がるとは限りません。
その場合は、

申し訳ございません!
予想が見込み通り成長しませんでした。
このまま保有していても含み損が膨らむばかりです。
ここは早めに損切して、新しいこちらのテーマ型のファンドを購入しましょう
と提案できます。
証券マンにとって購入者が利益が出ようが出まいがどちらでもよく、定期的に売買してもらえればよいのです。
まとめ
避けるべき投資信託の特徴や見抜き方について解説しましたが、参考になれば嬉しいです。
投資信託は、資産形成に有効な手段である一方、選び方を誤れば「資産を増やすつもりが減らしてしまう」ことになりかねません。
大事なことは
これらを徹底するだけで、大きな失敗を避けられます。
投資の最終的な判断は、常に自分自身に委ねられています。
セールストークに流されるのではなく、冷静に数字と仕組みを見極め、納得して選べる力を身につけましょう。
自分が何年・何十年と苦労してコツコツ稼いできた大切なお金を投資することの重みを理解しまょう。
将来豊かな生活を送れるように一緒に頑張っていきましょう。