
私は40代になって初めて、自分がどれほど無知で、簡単にお金と未来を失っていたかを思い知らされました。
きっかけは、長年安心のためにと払い続けていた「貯蓄型保険」の真実を知った瞬間でした。
「この保険なら、一生涯の安心と老後資金が同時に手に入ります」
20代の頃、営業担当のその一言で、それなら、と私は迷いなく契約しました。
それから十年以上、私は「将来のため」「家族のため」と思ってコツコツ積み立て続けました。
自分は将来を見据えた、賢い選択をしているとすら思っていました。
しかし40代半ば、ふと解約返戻金を調べた私は、愕然としました。

10年以上積み立てて利息が数百円って、嘘だろ?
これなら、ただ銀行に預けておいたほうがまだマシでした。
さらに解約すれば手数料が待っていました。
“安心のための保険”は、いつのまにか“資産を削り取る仕組み”に変わっていたのです。
その瞬間、私は初めて「自分は守られている」と信じていたものに裏切られた気がしました。
しかし本当は、誰かに裏切られたのではありません。
裏切っていたのは、他人の言葉を疑いもせず信じた、過去の自分自身だったのです。
私は気づきました。
「お金を増やす前に、まず“真実を見抜く力”を身に付けなければ、と」
この気づきこそが、私の人生を変える転機となりました。
次の章では、なぜ私はこれほどまでに簡単に騙され続けたのか、そして同じことが今も多くの人に起こっているのか、その“心理の正体”を明らかにしていきます。
なぜ私は、カモにされ続けたのか
保険に限らず、私は20代から40代前半まで、何度も同じ失敗を繰り返してきました。
「貯蓄になる」「将来安心」「今だけお得」——
けれど「最終的には自分で考えて判断している」と勘違いしていたのです。
ところが現実は、判断していたのではなく、ただ“安心させてくれる言葉”を選んでいただけでした。
なぜか?
答えは簡単です。
私は「安心したい」「失敗を避けたい」という感情を満たす情報を鵜呑みにしていたからです。
投資でも同じでした。
「年利10%」「プロが実践」「誰でもできます」——
この言葉に触れた瞬間、私の頭はすでに“やってみよう”と決めていました。
言い換えるなら、「考えること」より「信じること」を優先していたのです。
つまり私は、「正しい情報を探していた」のに、「信じたい情報を集めて自分を納得させていた」のです。
今思えば、私は常に「自分を安心させてくれる誰か」に共感していました。
自分の頭で考え、自分の責任で判断するのではなく、「プロが言っているから」「みんなやっているから」という理由を探し、その言葉にすがることで不安を消そうとしていたのです。
しかし、その“安心感”はいつも突然崩れ去りました。
保険の返戻率を知った日のことは、今でも忘れられません。
十数年積み立てても、解約すれば元本割れ。
さらに「今やめると損なので、あと〇年続けた方がいいですよ」と言われたとき――
私は逆に冷静になれました。
「これで確信した。この人は自分の利益のことしか考えていないーー」
衝撃と同時に、静かな怒りが込み上げました。
しかしその怒りの矛先は、保険会社や担当ではありません。
向けるべき相手は、自分でした。
こうして私は本質に気づいたのです。
「金融リテラシーが低いから損をした」のではない。
自分の“思考停止”こそが最大のリスクだったのだと。
この瞬間が、人生のターニングポイントでした。
ここから私は、投資や保険の仕組みだけでなく、「なぜ人は間違った選択をしてしまうのか」という“心理のしくみ”に向き合い始めたのです。
次の章では、私がどのようにして「気づき」を得て、情報を見抜く力を身につけ始めたのか。
その具体的なきっかけと、思考の変化についてお話しします。
私が目を覚ました瞬間
保険で愕然とした日から数日間、私は怒りで何も手につきませんでした。
「自分は家族のために正しいことをしていた」と信じていたのに、それが実は「自分の将来を削り続ける行為」だったと知ったショックは大きかったです。
夜になると天井を見つめながら、「このまま老後を迎えたら、人生はどうなるのだろうか」と不安に押しつぶされそうでした。
あるとき、思いがけない出来事がありました。
親友と、久しぶりにお酒を飲みに行ったときのことです。
いつものように他愛もない会話をし、将来の話になった瞬間、彼がこう言いました。

実はさ、前からNISA(※旧NISA)やってるんだ。
保険は全部解約して、その分を高配当株とインデックスに回してる
その一言に、私は息をのんだ。
「金融に無頓着だと思っていた友人が、私より先に“お金を働かせていた”」——
その現実が、胸を突き刺した。
“知らないことを避けてきた自分”を痛感した私は、10年以上の積み重ねが一瞬で無意味になったように感じました。
親友との会話で動揺していた私は、「自分が知らない世界がある」という事実を突きつけられました。
夜、帰り道に書店に立ち寄り、手に取ったのが『金持ち父さん貧乏父さん』でした。
正直、それまでも表紙は何度も目にしていました。
しかし、“投資で失敗してきた自分が読む資格なんてない”と、無意識に避けていたのです。
けれどその日は違いました。
「このまま何も変わらなければ、私は一生、搾取され続けるのではないか」
そんな恐怖が私の背中を押しました。
本を読み始めると、私は衝撃を受けたのを今でも覚えています。
「お金のために働く人」と「お金を働かせる人」では、人生の終わり方がまったく違う。
問題は収入の多さではなく、お金に対する考え方にある。
これまで私は、「投資で儲けるか、損するか」ばかりを気にしていました。
しかし本に書かれていたのは、そんな小手先の話ではなかったのです。
どんなに頑張っても労働者はお金持ちになれないこと、資産と負債の違い、だからお金持ちになるには資産を買う必要がある。
まるで胸ぐらを掴まれたような衝撃でした。
私はその瞬間、これまでの人生が“選択の連続”ではなく“思考停止の連続”だったことに気づきました。
私は「選んでいた」のではなく、ただ「従っていただけ」でした。
夢中で読み終えました。
心の中に小さな光が見えてきました。
私は生まれて初めて、“金融リテラシーとは知識のことではなく、自分と家族の人生を守る力なのだ”と理解したのです。
次の章では、私がどのようにして「情報を見抜く力」を身につけ、自分の人生の主導権を取り戻していったのか。
その具体的な思考法と、誰でも今日から始められる実践ステップをお伝えします。
「考える力」を取り戻すために
私は痛感しました。
お金を増やすよりも前に、まず身につけるべきは「正しい情報を見抜く力」だということです。
世の中には善意の顔をした危険な情報も多く存在します。
ここからは、私が実際に実践している“情報を見抜く5つの視点”を紹介します。
情報を見抜く5つの視点
リテラシーとは、知識を詰め込むことではありません。
「本当かどうかを一度立ち止まって考える力」です。
そのために、私が今も大切にしている5つの視点を紹介します。
① 誰の利益のための情報か?
広告・記事・営業トーク。
どれも「あなたのため」と言いながら、実は“発信者の利益”を優先していることが多いでしょう。
その言葉が「誰を得させ、誰を動かしたいのか?」を一度考えてみてください。
そこに意図を見抜くヒントがあります。
② 一次情報はどこか?
SNSやまとめサイトは“誰かの意見”の上に成り立っています。
数字・データ・制度——元となる一次情報を確認する癖をつけるだけで、9割の誤情報はふるい落とせます。
③ リスクとリターンのバランスは合理的か?
「儲かる」「得する」話ほど、裏に“見えないリスク”が隠れています。
利益を語る人は多いですが、リスクを語る人は少ない。
両方をセットで提示している情報だけが、信頼に値します。
④ 自分の感情で判断していないか?
「怖い」「すぐ欲しい」「今しかない」——
こうした感情が動いたときこそ、一度深呼吸。
感情が揺れた瞬間が、思考が止まる瞬間です。
冷静になった翌日に決断する。それだけで、多くの失敗は避けられます。
⑤ 決断を急がされていないか?
本当に良い選択肢は、あなたが納得するまで待ってくれます。
「今だけ」「すぐ」「限定」という言葉で追い立てる提案ほど、後悔を生みます。
時間をかけて考えられない提案は、慎重に見送る例もあります。
これらの視点は、特別な知識がなくても使えます。
「疑う」ことではなく、「確かめる」こと。
それが、自分とお金を守るための最初のステップです。
次の章では、この5つの視点を持った先にどんな変化が起きたのか。
リテラシーが“人生の安心”をどう変えるのかをお伝えします。
リテラシーを持つことで人生はどう変わるか
40代半ばでようやく金融リテラシーに目を向けた私は、驚くほど心が穏やかになりました。
「お金の不安がなくなった」というより、“不安に振り回されなくなった”のです。
以前は、ニュースの「暴落」「円安」「物価高」という言葉に反応して、気づけばスマホで検索し、焦って判断を誤る自分がいました。
けれど今は、情報を見た瞬間に考えます。
「誰が、何の目的でこれを伝えているのか?」と。
それだけで、心が落ち着き、必要な行動だけを選べるようになりました。
資産が増えたことよりも、「自分で考え、自分で決められる」ようになったこと。
それが、何よりも大きな変化でした。
リテラシーを持つというのは、難しい経済用語を覚えることではありません。
「流されずに生きる力」を手に入れることです。
この力さえあれば、どんな時代でも、自分の人生を自分の意志で選べます。
私は50代になった今でも思います。
20代や30代のときに気づけなかったことを、40代で学べて本当によかったと。
そして——気づくのが遅すぎることなど、ひとつもない。
人生を守る力は、何歳からでも育てられるのです。
人生の選択を誤らせるのは、無知ではなく「考える時間の欠如」かもしれません。
まとめ
私たちは、正しい情報ではなく「信じたい情報」に騙される。
けれど一度“考える力”を取り戻せば、搾取されにくくなると感じる場面もあります。
今日からできることはシンプルです。
情報を見たら、少し立ち止まって考える。
——それだけで、人生の軸は少しずつ、自分の手に戻ってきます。
金融リテラシーとは、お金の勉強ではなく「生き方の選択権」を取り戻すこと。
そして、その第一歩は、今この記事を読んでいるあなたの中ですでに始まっています。
今日から、あなたの“考える時間”が人生の資産になります。
もう誰かの言葉ではなく、自分の判断で生きていきましょう。
判断力が育つと、「では何を指針に行動すればいいのか」という次の疑問が生まれます。
次の記事では、『バビロンの大富豪』から学んだ“お金の不安を軽くする行動原則”をわかりやすく整理しています。
📄 免責的注記
※本記事は筆者の体験に基づく一般的な内容です。
特定の投資行動を推奨するものではなく、あくまで「考え方の一例」としてご参考ください。

