「資産運用したあとはどう切り崩していけばよい?」「4%ルールは資産を減らさずに生活できるっ本当?」など、資産形成した後どのように資産を取り崩していけばよいのか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
資産を取り崩す方法の一つに”4%ルール”というものがあります。
私はこの4%ルールに基づいて資産を取り崩しながらセミリタイアをしようと考えています。
この記事では、4%ルールに基づいてどのくらい資産があればセミリタイアできるのか、何に投資して資産形成するのか、4%ルールを成功させるための秘訣などについて解説しますので、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
セミリタイアとは
セミリタイアとは、FIRE(Financial Independence, Retire Early)の形態の一つです。
働くことから解放されて、貯蓄や投資の運用益で生活することを”アーリーリタイア”といいます。
一方セミリタイアは、フリーランスやアルバイトなど必要な生活費の一部を労働で、残りを貯蓄や投資の運用益で生活するスタイルです。
アーリーリタイアと違い、セミリタイアに必要な資産は少なくなります。
そのため、私のような低収入の人でも実現可能性が高いと言えるでしょう。
元気なうちにたくさん自由な時間を持てるようになりますので、旅行や趣味、あるいは新しい学びにと時間を使うことができるのが大きな魅力です。
セミリタイアをするための目標金額は「4%ルール」で算出する
セミリタイアを実現するためには、最初に資産の目標額と取り崩しルールを決めます。
資産の取り崩しは”4%ルール“に基づいて行うのがよいでしょう。
4%ルールとは、アメリカのトリニティ大学の研究者たちによって1998年に発表された資産運用に関する研究結果から導かれたものです。
これは「資産運用額の4%未満で生活すると30年以上経っても資産が残っている確率が95%以上」という研究結果です。
トリニティ・スタディの対象期間は、1926年~1995年の70年間と少し古いデータではありますが、有名なブラックマンデーをはじめとした暴落期間が多く含まれています。
そう言われても1998年の研究結果だと今も通用するか不安だな
と思う人も多いでしょう。
2018年の”更新版のトリニティ・スタディ”があり、その研究結果は次の通りです。
※ 参考元:2018年の更新版「トリニティ・スタディ」の研究結果
毎年4%ずつ取り崩しても35年後に96%以上の確率で資産が残っているという結果なので、運用資産は長持ちする可能性が高いということが言えるでしょう。
この結果を踏まえ、年間生活費はいくら必要かを逆算すると目標金額がわかります。
セミリタイアという生き方を知れたのは幸運のひとつ
セミリタイアという生き方を知ったことで、精神的にすごく楽になり将来に希望が持てるようになりました。
運用所得で生活費をカバーできれば、生活のためにやりたくもない仕事や心身を酷使する仕事から解放されることにつながります。
ずっと心身をすり減らしながら仕事した挙句、心と身体のバランスが崩壊しても誰も責任を取ってくれません。
自分の身は自分で守るしかありません。
セミリタイアができれば、大切な家族、友人、趣味にと楽しく生活することもできるでしょう。
セミリタイアに必要な生活費を計算し所得を決定する
セミリタイアを実現するため最初にやることはセミリタイア後の生活費の計算です。
自分がどのような生活をしたいのかによって生活費は変わりますので、まずはライフプランを決めましょう。
必要な生活費は家計簿をつけると簡単に算出することができます。
ただし、大きなライフイベントがある人は、リタイアの時期をずらすなど検討が必要でしょう。
例えば、子どもが大学に進学する、マイホームの購入を予定しているなどです。
家計簿を分析すると毎月生活費がいくら必要なのかわかるので、その金額から4%ルールに基づいて用意する運用資産を計算します。
例えば、月20万円の生活費が必要だとします。
アルバイトで月10万円稼ぐと想定すると3,000万円の運用資産があればセミリタイアできる計算です。
- バイト 10万 x 12か月 = 120万円
- 4%ルールでの資産取り崩し 3,000万円 x 4% = 120万円
- 合計 年間240万円の収入
税金と社会保険料等を考慮していないため参考金額となりますが、2,3万円金額が上乗せできれば安心でしょう。
家計簿についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ読んでみてください。
貯蓄を投資に回す
必要な資産額が確認できたら、その目標金額に向けて投資をします。
投資は早ければ早いほど資産運用効果(複利効果)が大きくなるので、投資することに不安な人は小額からはじめるのがよいでしょう。
投資には株式や投資信託、債券、不動産などいろいろあり、リスクもリターンも違います。
そのため、何に投資するかはとても重要です。
大事なお金を運用するので、リターンだけを考えて安易に投資するのは避けましょう。
投資によるリスクとリターンを理解した上で目標額といつまでに達成したいかを考慮して資産形成を行いましょう。
ただし、投資は確実に増えるものでなく、時には損失が出て資産が減る可能性があるということは理解しておきましょう。
長期資産形成を前提とした株式インデックス投資がおすすめ
投資と言っても、何に投資すればよいのか迷う人も多いのではないでしょうか。
資産形成におすすめなのは”株式インデックス投資“です。
証券会社によって異なりますが、最低100円から購入できますので投資は初めてで不安だという人は小額から始められる点も安心です。
投資に慣れてきたら徐々に金額を増やしていくことで、資産形成が加速していくでしょう。
具体的な株式インデックス投資として、「S&P500」または「全世界株式」がおすすめです。
セミリタイアを目指すなら、いずれかの投資信託をコツコツ購入していくことで実現可能性が大いに高まるでしょう。
投資信託についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ読んでみてください。
4%ルールを成功に導くには?
4%ルールで資産を取り崩す場合でも100%資産が枯渇しないというわけではありません。
自分が96%に入れなかったらどうしようと不安に思う人もいるのではないでしょうか。
そこで、4%ルールの成功率をさらに上げるために、暴落時や下落相場が続く時の備えや心構えを持っておきましょう。
具体的には次の3つです。
- 2,3年分の生活費を貯蓄し備えておく
- 下落相場が続いているときは、働いて生活費を補う
- 下落相場が続いているときは、一時的に3%ルールに変更する
過去の相場から言えることは、ずっと上昇相場が続かないように、ずっと下落相場が続くわけでもありません。
下落相場はいつか来るものであり、暴落時に4%ルールで取り崩し続けると思った以上に資産が目減りしてしまうでしょう。
そこで、備えや心構えをしておくと不安で精神が不安定になったり、最悪パニック売りしてしまうということを防止できるでしょう。
それぞれ詳しく解説します。
2,3年分の生活費を貯蓄し備えておく
2,3年分の生活費を貯蓄しておくと暴落や下落相場が続いても安心でしょう。
なぜ2,3年分かという理由ですが、一部例外はありますが過去の暴落や下落相場は長くても2,3年で回復しているからです。
「過去97年の市場暴落と回復年数」(myINDEX)
そのため、下落相場が続いたときは上昇局面がくるまで運用資産の取り崩しを一時中断して、貯蓄を使って生活すると資産が安定するでしょう。
下落相場が続いているときは、働いて生活費を補う
下落相場は数年単位て続く可能性があるため、働いて生活費を補うのがよいでしょう。
例えばアルバイトなどで生活費の足しにできれば、金銭面でも精神面でもかなり楽になるでしょう。
生活費を切り詰めるにしても限界はありますので、運用所得の中で無理やり乗り切ろうとする必要はありません。
下落相場が続いているときは、一時的に3%ルールに変更する
下落相場の時に4%ルールに基づいて投資所得を売却し続けると、上昇局面になった時に資産の伸びが鈍化してしまいます。
また、最悪は資産がなくなってしまうという可能性もあるでしょう。
そのため、下落相場の間は一時的に3%ルールに変更して資産の減少を抑えるのがよいでしょう。
ちなみに3%ルールで資産を取り崩した場合、将来資産が残っている確率は100%です。
このように研究データをうまく利用することで、4%ルールで資産を取り崩した時の成功率を上げることができるでしょう。
20代から資産運用を始めることが重要
セミリタイア(またはアーリーリタイア)を目指すなら、20代から資産運用を始めることが重要です。
投資は複利効果がとても重要で、早く始めるほど効果を発揮します。
いつものように野村アセットマネジメントでシュミレーションしてみます。
例えば、22歳から2万円ずつ積み立てて50歳まで年利5%で投資した場合、1,439万円になっています。
野村アセットマネジメント つみたてシュミレーション
一方、10年後の32歳から倍の4万円ずつ積み立てて50歳まで年利5%で投資した場合、1,387万円です。
野村アセットマネジメント つみたてシュミレーション
このように、最初の10年という時間の差は投資金額を倍にしても取り戻せない可能性が高いということが確認できますね。
しかも200万円近く多く使っているにも関わらずです。
複利効果の力を再確認できますね。
22歳からずっと2万円として計算しましたが、投資に回せるお金が増えれば増えるほど差が広がっていきます。
セミリタイアではなく、アーリーリタイアを目指す人は取り崩す運用資産は多くなります。
そのため、時間と複利の力を最大限に活用するために、20代から投資運用をするとアーリーリタイアも視野に入ってくるでしょう。
日本では4%ルールは通用しない?
株式インデックス投資の出口戦略として有効な4%ルールですが、日本で実現するのは無理だという人もいます。
“税金が考慮されていない“、”日本の株式市場の伸び率の低さ“を理由にしている人が多い印象です。
確かにその通りですが、このことが4%ルールが無理だという根拠と言えるでしょうか。
まず税金面ですが、確かに利益に対して20.315%の所得・住民税がかかります。
株式の配当金の場合は20.315%が引かれますが、投資信託の場合は違います。
取り崩した金額に対して元本を引いた後の利益に対して20.315%が引かれます。
また、新NISAを利用すれば非課税になります。
税金面に関しては、新NISAを活用し税金を抑えれば日本でも4%ルールは十分通用すると考えています。
一方、株式インデックス投資の出口戦略の中でもっとも注意すべき点は、円高が進んだ時です。
S&P500やオルカンは2024年6月現在で円安の影響もあって、指数以上に評価額が増えています。
これが円高に向かえば、たとえ米国株が上昇していたとしても評価額はその分下がるので資産が減るということは覚えておきましょう。
取り崩し後の手元に残る金額のイメージ
私が2022年4月から積み立てているS&P500の投資信託を1万円ずつ取り崩してみた結果を参考までにお伝えします。
概ね5%から7%くらい税金が引かれているといった感じでした。
このように取り崩した1万円から20.315%が引かれるわけではないことが確認できますね。
税金対策には新NISAの活用が効果的
先ほど説明した通り、税金を抑えるために新NISAを利用して投資するのがおすすめです。
新NISAは運用益が非課税ですので、取り崩した金額がそのまま手取りとなります。
投資信託なら1,800万円まで非課税枠を利用できますので、上限まで新NISAを使って運用するのがベストです。
新NISAについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ読んでみてください。
日本市場で資産運用している人は気になるかも
“失われた30年”という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
最近(2024年)は日経平均が4万円を超えたりした時がありますが、30年かけてようやくと言った感じで日本市場の伸びは確かに遅いと言えるでしょう。
日本市場で資産形成をしたいと考えている人は、今後の日本経済の伸びについてよく検討してからにしましょう。
まとめ
運用所得でセミリタイアを達成するための出口戦略について解説しましたが、参考になれば嬉しいです。
出口戦略を成功させ資産を減らさずに生活をするための準備、心構えの重要性について解説しましたが理解できたでしょうか。
何に投資するのかによって大きく資産形成は異なります。
一気に資産を増やそうと夢見ると大きなリスクを背負います。
資産を増やすどころか失う可能性が高まるため、リスクの大きい投資には手を出さないのが無難でしょう。
4%ルールをうまく活用し、資産形成してセミリタイアを成功させましょう!